痛みの評価について
こんにちわ!
前回から、何度か疼痛に関連する内容をアウトプットさせて頂きました!
今回はその"疼痛の評価"についてやんわりアウトプットしていきます。
では、早速、、、
"疼痛"というものは主観的な症状のため、我々セラピストが客観的に評価するのはとても難しいですよね。
前回でも記載しましたが、
疼痛とは
「実際に何らかの組織損傷が起こったとき、あるいはそのような損傷の際に表現されるような不快な感覚および情動体験」
国際疼痛学会による
と定義されています。
骨折しようが、神経が損傷しようが、"痛い"という気持ちになったり、"痛い"体験や訴えがあればそれを「痛み」として捉えられるということです。
そもそも疼痛は
・感覚的側面
・情動的側面
・認知的側面
の3つに分けられています。
感覚的側面とは
痛みの部位、強度、持続性など身体的な痛みの感覚
情動的側面とは
怒り、恐怖、悲しみなどの不快に感じる情動
痛みにより引き起こされる感情の変化
認知的側面とは
過去に体験した痛みの記憶、注意、予測などから身体にとっての痛みを分析、認識すること
こういった側面があるから、患者さまの疼痛をしっかり評価していかないといけませんね。
では、疼痛の評価にはどんなものがあるのでしょうか?
まずは
"痛みの強さの評価"
①視覚的アナログ尺度(visual analogue scale:VAS)
10cmの横線上に痛みの程度を患者自身で記載してもらう方法
利点は"使用が簡便"、"除痛の状態をすぐに知れる"というところ。
②数値的評価尺度(numerical rating scale:NRS)
痛みの強さを0-10までの11段階として現在の痛みの強さを数字を用いて答える方法
これは2つの方法があり、
1つは、「初診時あるいは治療前の最大の痛みを10、痛みなしを0として現在いくらになったかという痛みの軽減度合いを評価する場合」
もう1つは、「今までに体験した最大の痛みを10とし、痛みなしを0として現在はいくつかという現在の点数を評価する場合」
この評価もVAS同様、使用が簡便で痛みの程度が患者さまに残りやすいのが利点
③表情評価スケール(faces pain rating scale:FRS)
6段階に変化した表情を描いた絵を見せて、痛みのない状態から今までの最高の痛み状態を、笑ってる顔から泣いてる顔に当てはめると、現在の痛みはどの表情に一致するかを選択してもらう方法
これは、言語や数字を十分に理解できない小児に用いられる。
④簡易疼痛質問表(brief pain inventory:BPI)
痛みの程度や痛みにより障害される気分や行動について10段階で評価する方法
つぎに
”痛みの心理社会的因子の評価”
①破局的思考尺度(pain catastrophizing scale:PCS)
破局的思考の程度を測定するもの
3因子13項目からなり、自己記入式の質問紙で自分の状態にどのぐらい当てはまるかを各項目0-4点で測定。
高値になるほど破局化傾向が強いことを表す。
そもそも、破局的思考(pain catastrophizing)とは、
痛みに起因する認知や情動を否定的に考えてしまうこと。
そして、破局的思考には3つの側面があります。
①反芻(はんすう)
痛みに関連した考えに過剰に注意を向けること
②無力感
痛みの強い状況への対処において無力になること
③拡大視
痛みの脅威を過大評価すること
こういった破局化は痛みに影響を与える心理的因子として、生活にも影響を及ぼしてしまうと捉えると、とても無視はできない評価ですね。
"痛み"によって身体機能面、心理面に影響を与えてしまうし、"痛み"は主観的なもので客観的な評価が難しいですが、今回の記事で少しでも痛みの評価方法の参考になればと思います。
今回も最後まで読んで頂き
ありがとうございました!!
参考文献
・高橋直人,笠原諭,矢吹省司:痛みの客観的評価とQOL JpnJ Rehabil Med 2016;53:596-603
・水野泰行:慢性疼痛と破局化 Jpn J Psychosom Med 50;1133-1137,2010
・西上智彦,壬生彰:痛みに対する評価とリハビリテーション方略-臨床でのスタンダードを目指して- 保健医療学雑誌5(1)
参考書
・松澤正、江口勝彦著:理学療法評価学 改訂第4版 金原出版株式会社 P98-99